ばんえい記念の時刻が近づいてくる。緊張が高まってくる。
去年はペガサスが第2障害を登った時に太陽の光が差してものすごく幻想的だった。またそのようになるのか…と想像していたら、雨はあがり青空が見えはじめた。よかった!!
帰っちゃったお客さん、もう一度来ればいいのにな…。
検量所にはヒカルセンプーが1頭だけ先に来ていた。そばでずうっと厩務員さんが見守っている。去年もそうだった。元気な子なのかな。
ミサイルテンリュウがその次に来る。初めて会う、上がり馬なイメージを持っている馬。
20代の騎手がばんえい記念に出ることは珍しいことだとNHKのニュースで紹介されていた鈴木恵介騎手が騎乗。そうなんだなぁ…。と、ミサイルはきっちゃった(^_^;)ごめんよー。
レースを見てからまた検量所に戻るとほとんどの馬が入っていた。なんとなく近寄れないので遠くから見学。
いや~~ん、みんなかわいいーっ(T_T)おしゃれしてる…
ヨコハマボーイが、水引みたいに(?)前髪をまとめている。なんかめでたい!かわいすぎるよーっ。
シンエイキンカイが最後に入ると、ペガサスやミサキスーパーが壁をがんがん蹴って威嚇する。
そんな中、おとなしくしているヨコハマボーイ…かわいい~(T_T)
ペガサスは今まで私が見た姿と変わらない。レースを回避したり敗戦…去年の秋の時点では、来年のばんえい記念はペガサス勝てないかな…というより出れるかな?と思っていた。前走はひとまず安心したレースだったけど不安はぬぐえなかった。
大レースを前にしても堂々と、あくびなんかしちゃって。…ああ、ペガサス大丈夫かも。
私はペガサスが負ける姿を目の前で見たことがない。
パドックへ。気合を入れて前のレースからパドックにいたけど、さすがにそこは中央競馬とは違って人はいなかった。
レースが終わるとパドックが急に混みあう。うーっやはりみんなかわいいよーっ。近くの女性もかわいいー、かわいいー、と言いながら写真を撮っている。ファインダーを覗くとかわいさが増すのだ。
そんな中、ばんえいに通いなれたおじさんたちが「雨が降ればミサキだ」だの、ミサイルがいいだの、情報交換をしていて興味津々。
騎手が騎乗してパドックを回る。勝堤頑張れ!ミサイル!アーン!ペガサス!
声をかけているのはみんな女性だった。地元の人とかなのかな。私もヨコハマボーイ~と心の中で叫ぶ。名前短くできないから叫ぶにも語呂が悪いし。千葉さーんって騎手名で呼ぶか?千葉ちゃーんって。それ道営。
井馬節に乗って馬たちが入場する。一頭一頭の説明つき。
井馬さんはレースでもスーパーペガサスのことをペガサスと呼ぶ。そこが、ペガサスに対する親しみのように感じれてとてもよい。
今日はスタンドからレースを見ることにした。今回、ヨコハマボーイが勝つ一番のチャンスのような気もするからゴール近くで撮った方がいいか…来年はペガサスのラストランだし、でもスタンドからの雰囲気を一度味わってみたいんだよなぁ。
エキサイトゾーンのおかげか、思ったほどの人ではない。これならスタンドでも大丈夫そうだ。ということでスタンドに残って望遠レンズを装着する。
レース時間が近づく。スタンドに人が増えてくる。「すげー人だなオイ」と言い合う。
ファンファーレが鳴り、遠くのゲートの開く音と鈴の音が響く。
通常だとすんなり越えられる第1障害を苦労して昇る姿に、ばんえい記念なんだということを思い出す。
ペガサスが膝をつき、スタンドが一斉にああっ!と声を出す。
第2障害までの平らな道を進んでは止まり、進んでは止まり。じわりじわりと前へ進んでいく。馬場水分は4.6%。雨が降って軽くなったかと思ったけどそうでもないらしい。1トン挽くのだからちょっとは軽い方がいいのかな、雨が降ってよかった…と思っていたけどキツいレースのようだ。
第2障害の手前で馬が並んだ。一瞬の静寂のあと、1頭の馬が動くのと同時に大歓声があがり、みな思い思いの馬名を叫んでいた。ボルテージが上がる。
脚だけではなく、上半身を振る反動を使って少しでも前へとそりを挽こうとする馬たち。障害の山の向こうに頭を振る馬たちが並ぶ。見ている私たちも力が入る。
その中でも先頭を行くのはスーパーペガサス。さすが…私がここ毎年、ばんえい記念で見てきた強いペガサスだ!
ペガサスが最初に頂点に立つ。他の馬の倍以上の速さ、強さでペガサスの前足が砂を蹴りあげる。
すごい!どうして君は前へ進もうと思えるのだ?なんで1トンの荷物を挽いているのにも前へ、前へと進もうとするのだろう。
今年はあの強さは見れないと思っていた。なのにまた、こんなに強いペガサスを目の当たりにできるとは。
やっぱりペガサスだわ!坂を越えて大歓声。ペガサスの強さを祝福しているような明るい歓声と拍手。ばんざいしている人もいる。強い!
1トン挽いているとは思えない力強さでぐんぐんとゴールへと向かって行く。
坂を見るとミサキスーパーが坂を下りようとしていた。ヨコハマー!!頑張れー!
優しい顔をしたまま、ヨコハマボーイは坂を3番目に降りた。横ではシンエイキンカイがつまづき、騎手もそりから降りて様子を伺っている。苦労している馬たちが頂上の手前に何頭もいてなにやら騒々しい雰囲気だ。そんな中でペガサスだけがゴールに向かって歩いている。
一旦息を入れて、再び歩き出してからそのままゴール。その瞬間にまた大きな拍手。おめでとう!!賞金がかなり下がった今と昔とでは1億円までの道のりが違う。
次は2着争い。ヨコハマは届かないかな…ミサキスーパーがゴール。拍手。また2着かー。
3着争いに3頭が並ぶ。キャーヨコハマボーイ!!ゴール前で何度も止まるからわからない。きゃーヨコハマ!!やったー3着!ゴールしたヨコハマボーイにもまた、拍手。ミサイルテンリュウは4着。
再度坂に目をやるとアンローズはスタンドにお尻を向けて横たわっていた。ふうふうと大きな息をしているのが見える。わーん、アンローズ…(;_;)頑張ったのね…。そんな姿見せられたら、かよわくて、守ってあげたくなるよアンローズ。
牝馬キタノコクホーも頑張ったよ!大丈夫かちょっと不安だったの…ごめんね。えらい!
サンデーブライアンもラストラン。最初見たときはすごい名前だなぁと思っていたけど、かなり強くて嬉しかった。もう引退かぁ…種牡馬になって競馬新聞でその名を見る日が楽しみだよ。
シンエイキンカイは立て直してゴール。アンローズは鞍を外されて、横の道を歩いていた。
第2障害を越えれずに、1トンのそりを挽くコスモカップの横をすたすたと歩くアンローズを見ていると胸が痛くなる。
私も、他の誰かよりも軽い荷物なのにそれを挽くことをやめて、今を歩いているんじゃないかと。
ゆっくり行け、そこで休めー、という声を聞きながらにコスモカップはゴールした。大きな拍手。
定年制を越えると牝馬でも980キロではなく1000キロを挽くことになる。以前ハイトップレディがそうだったが、無差別級★競馬さんによると、見上げた女だ!
との声があがっていたとのこと。かっこいい~(^^) →ばんえい記念ひとくち話集
イベントにも出て楽しませてくれたし。その強さを仔たちに伝えるいいお母さんになってね!
今日はたくさんの、優しい男の声を聞いたな。
1頭ずつに拍手を送る伝統。そんな風に人や馬のことを思いやれる気持ちを持ち続けることのできるスタンドの人間であり続けたい。
今年も力強さ、迫力、いろいろなものに圧倒された。
興奮さめやらないまま表彰式。たくさんの賞を読み上げられている間、ペガサスヒマそう…
4度目とはいえ慣れるもんじゃないよなぁ(^_^;)
ばんえい記念馬との口取り権利の抽選に当たった人との写真撮影会はパドックに移動して行われた。「すごいよな、ディープインパクトと撮るようなものだ…」との会話が聞こえる。
ものすごく嬉しそうだった。緊張した顔つきが良い。
それからペガサス会話(?)。
以前、イタリアのカメラマンが、スーパーペガサスのreal nameはなんだ、と聞いてきたという。
なんのことかと思ったら、Super Pegasusというのはニックネームだと思っていたらしい。ペガサスというよりは力強い大きな馬だけど、第2障害で写真を撮っていた人が、一瞬そりが浮いたように見えた、と。そりを挽くペガサス、その通りなのかもしれない。
そして、私がペガサスは勝ったことしか見たことない、○○さんは負けたところしか見たことがないよなぁ、という話をしているとHさんが「ペガサスで勝った事ない」と(^_^;)
最終レースも見たかったけど、結局ずうっとペガサスを見ていた。
最終レースを終えて戻ってくる馬の写真を撮っていると安部騎手が「俺頑張ったよー」といって通り過ぎた。
普通にお疲れ様です~と挨拶したけど、このレース穴あけて勝っていたのかぁ(T_T)
おめでとうの一言も言えずに…わーん次のチャンスはサダエリコでおめでとうだー。
しかも、ばんえいの方には勘違いして「岩見沢で会いましょう!」って…帯広は行けないから次開催ってことだったんだけど、次って旭川じゃん!やっぱりピントずれてる…みんなごめんなさい(T_T)
帰りのJRは爆睡。
家に帰り、今朝が最終回だった北海道新聞日曜版の「楓子のダイチ」を読む。
ばんえい競馬の興奮が伝わってくるような表現に今日の出来事を思い出し、また心の中が熱くなった。今日頑張った馬たち、お疲れさま!そして本当にありがとう。今回ついに、私はすっかりばんえいに魅せられてしまった。