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2006年3月25日 (土)

仙美里の馬の慰霊碑

今回の帯広行き。土曜日は本別町へ、仙美里の馬の慰霊碑を見に行くことにする。
戦時中、仙美里駅から馬たちは貨物列車に乗って戦地へと向かった。
そのときに嫌がる馬たちを貨物列車に押し込んだ経験もある仙美里駅の元駅長さんが、昭和63年に馬の慰霊碑を建立したという話を、吉永みち子さんの本で読んだのだった。

北海道新聞の連載です。
戦後60年 軍馬の涙 《上》 遺骨収集
戦後60年 軍馬の涙 《下》 抵抗の跡

また、仙美里駅を通るふるさと銀河線は今年の4月20日で営業を終了するということで、それに乗りつつ本別へ向かう。

現在慰霊碑を管理されているのは本別のKさんという方で、今回訪れるということで話を伺ったところ、案内してくださることになった。本当にありがとうございますm(__)m
いろいろと話をしながら「資料は…」と聞くとちょっと考えて、「あっ、馬の飼料じゃなくて本とかの資料のことね!」しりょうって言って先にそっちの飼料が出るんだ(笑)
仙美里ではなく、その一つ前の本別駅で下車。Kさんと一緒に車で慰霊碑まで向かった。

最近まではばん馬のセリも行われていたが、現在は使われていないという家畜市場の横を入ると2つ、大きな碑があった。
馬魂碑と牛魂碑

左側の新しい方が「戦没軍馬鎮魂之碑」。たくさんの花が手向けられている。
この碑を建立した元仙美里駅長の森弘さんは2年前に亡くなられたとのこと…。
右側は「牛魂碑」。牛の慰霊碑って始めて見た…でもこの辺りには結構あるらしい。

まずは馬の慰霊碑に手を合わせる。この中には、仙美里駅から戦地に向かう列車とホームの間に渡された、傷だらけの馬踏板も納められている。
牛の慰霊碑は違う場所にあったものを移転してきたらしい。こちらは神様。
なんで馬は仏さんなんだろうねぇとKさん。馬ばかり見ていると「馬頭観音」の存在は当たり前に思っていたけど、言われてみれば神様かも…どこかで読んだ気がする…馬が生活に近いから仏なんだったっけ?
ここにお坊さんか神主さん、どちらかが来ると「ついでだから隣もお願い」という話をするそうだが無理だと言われちゃうと。そりゃそうだ(笑)

途中でかなり大きく新しい建物を通過。北海道農業大学校とのこと。こんなにキレイだったのか…
もともとは仙美里にあった軍馬補充部の職員宿舎でもあったらしい。当時の面影を残す建物もいくつか残されている。
(あとで博物館を見ると、馬術の金メダリスト西竹一氏の住んでいた宿舎もあったそうで)
宿舎

それからはまだ時間もあるので、と仙美里駅へ向かう。
当時の面影などまったく無い、新しくなった駅舎と静かな風景。
ここから馬たちが戦地に運ばれていった姿を想像するにはあまりにも遠い。
駅舎の中には軍馬を詠んだ俳句が飾られている。
仙美里駅・ここから列車に乗せられて…

そして駅前の本別町歴史民俗資料館へ。
ここには全国から寄せられた軍馬に関連した遺品が置かれている。入るとすぐにその資料が展示されていた。多くの写真と本。
慰霊碑建立の時に、砂利の上で読経を続ける僧侶の写真もある。何度も椅子を勧めたが頑なに断ったという。
戦地で獣医をしていた伊藤一雄さんは沖縄へ友人と軍馬の骨を探しに行き、何度目かで真っ黒い馬の骨を見つけた。その冊子が興味深い。こちらの記事にも出ています
西竹一氏が仙美里の軍馬補充部にいた時のパネルもある。仙美里にいたんだ、知らなかった~。
玉砕した時に身に着けていたというウラヌス号のたてがみもあり、ふと横を見たら隣のKさんは写メってた(笑)
その隣にあるのは教科書。教育出版の小学校2年生の教科書には「ふるさとの空に帰った馬」という小暮正夫さんの作品が載っている。「かわいそうなぞう」がなくなったとは聞いていたけれど、象のかわりが馬だったとは!
これはまさに、森弘さんがモデルだぁ~。
水ようびのどうわ

列車の時間が近づいてきたので帰ることに。Kさんありがとうございました!

戦争の歴史は、小学生・中学生くらいの時は目にすることが多かった。でも今では、自分から見に行かないとなかなか触れる機会がない。特に私の環境の下では。
戦後60年、更に忘れられていく戦争の歴史。
馬と過ごした日本の歴史にはこんな悲しい出来事があったということを心に留めていきたい。少しでも多くの人が、馬の慰霊碑に手を合わせる機会があれば…と思う。

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ばん馬のいる風景

プロフィール

  • ゆかです。北海道在住。いろんな馬に会うことが好き。 ばんえいは「ばん馬のいる風景」、ホッカイドウ競馬は「つぶ串ひとつ」というブログで書いてます。それ以外の馬ネタの行き先がここ。 TwitterとInstagramは@primoordine。地元紙記者、競馬ライター・カメラマン。小久保(斎藤)友香の名前で出ています

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