ありがとうございました
以前日高地方を訪れてからそんなに日が経っていない気がするのに、急激に春を感じる景色に変わっている。
まだまだ桜は早いけれど、放牧地の緑が青々としていて、馬たちもひたすら青草を食んでいる。
ガスがかかり、まるで初夏のようだ。
5月3日、私の好きなボヘミアンカバリエの生産牧場である日東牧場の社長さんが亡くなられた。
私が初めて牧場にお邪魔したときから体調を崩されていたから、お会いするのは牧場よりご自宅の方が多くなっていた。
それから幾度となく牧場にお邪魔させていただくようになっても、ずうっと恐れ多く、緊張していたのは社長さんの存在があったからだと思う。
カバリエは社長さんもオーナーも、古い時代から日本の競馬会に関わって大きな貢献をされている。カバリエは競馬の歴史を伝えるために私の前に現れたのかなんて思う。
牧場や調教師、騎手などの供花があふれんばかりに並べられている。座るところがなく、奥の部屋でテレビを見ながらとなった。そんなに正座は苦にならない方なのに、運転してきたからかすぐにしびれて大変(^_^;) 挨拶も弔電披露もさすがに長い…知り合いの子も話が終わるたびに「終わった?」というので周りがなごむ。
牧場の従業員さんに会ったので挨拶をすると、3秒くらい固まってからやっと気づく。礼服じゃわかんないのか…。
社長さんはビールと焼酎を合わせた「ビー酎」を好んで飲まれていたとのこと。
その夜は私たちも社長さんを偲んで、ビー酎で乾杯をした。
お通夜に一緒に行った方は馬の仕事があるので、次の日のお葬式には行くことが出来なかった。昨日より人が少ないのも、馬の仕事をされている方が多いからなのかと思う。
競馬の仕事をしている人たちは、社長さんのぶんも…と馬の仕事を続けるのだろう。
でもファンである私はただただ、悲しくて。応援を続けていくだけなのよね。
弔辞を読まれた方が、亡くなられた日の朝、社長さんに「今日道営競馬で牧場の馬が走りますね」と声をかけたという。
ニットウナデシコとトミケンブリアールのことだ…。目の前で走っていたこの子たちのことを思い出すと涙が止まらなくなった。
ナデシコのハナ差、ニットウサランのクビ差。まさか、後押しをするために天に旅立たれたということはないですよね?
カバリエの配合を考えてくれて、カバリエに逢わせてくれて、本当にありがとうございました…
クインナルビー、ニットウチドリ…たくさんの名馬と共に、安らかにお眠りください。
ガスのかかった放牧地には太陽の光が降り注ぎ、ウグイスやひばりなど、たくさんの鳥たちがさえずっていた。
今朝訪れた放牧地は、今まで見た中で一番美しい牧場の光景だった。
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