ロックハンドスター
震災後、ネット上に置かれていたロックハンドスターのペーパークラフトを作っていた。
クラキンコフィギュアの横に置いた。三冠馬同士の対決。実現することがあるかな。それは案外早く叶った。岩手競馬の開幕が遅れたから、門別にやってきたのだ。
赤いメンコには白地で「Rock Hand Star」と書かれている。ナイターの明かりに照らされて、ムキムキの筋肉は影をつくる。やっぱり岩手の星だ。出会えたことがうれしかった。
道営馬は岩手に遠征することが多いから、岩手の強い馬との勝負に興奮する。ロックはこれからずっと、そんな場に出てきてくれる。そう思っていた。
震災から7ヶ月が経った。
新聞には特集記事が出ている。
-人は何か意味があって生かされると思っていた。でも、違っていた。生死の境に特別な意味はなかった。-
四ツ割勝負服に「がんばろう東北」と書かれたスボンの菅原俊吏騎手は、ころげおちた芝生の上で、目でロックを追っていた。
ルドルフが亡くなって、馬は寿命を知っているというようなことを書いた。でも違うじゃないか。なんでここで命を落とさなくてはいけなかったか、という馬を私はたくさん見てきているのに。
岩手競馬を応援している人たちが好きだ。なんで、悲しい思いばかりしなくてはいけないんだろう。
あれから少し経って、ロックが亡くなった意味を、みんなが探そうとしている。最近、悲しさと前向きさの同居ばかりだ。胸が痛い。
私は前向きにもなれず、あのまま止まっている。
いつか、時間が癒すと思いながら。いつまでたっても、その時間は短くはならない。
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