いつか、野馬追で(4)
写真の見せ方というのは長年悩んでいて、でもはじめてやってみた。ふむふむ、どちらがよいのでしょうね。
2時になったので友人と別れ、五輪共同育成センターに戻った。雲が出てきてしまった。放牧地の馬たちを見ていると、マドリードシチーの奥に真っ白い馬がいるのが見えた。防風林の前を行き来する美しい馬。ダンツムソウだ、ここにいたんだ。
津波の中を犬と一緒に泳いできたというダンツムソウ。近づいてみたけれど放牧地のそばまで行くことができない。暗くなり、こんな寒い日だからか中に入れてほしそうに、ひひーーん、と泣く。周りを見回すと、みんな出口に集まっている。私に期待されても、戻せませんから…
そのうち、雲の間から光が射した。林の奥から芦毛を照らす。馬の写真を撮っていると、これは何かを意味しているんじゃないか、と不思議な光景に出会うことがある。津波から生還したダンツムソウを照らす太陽。この時だけ雲が切れた。その奥には太平洋が広がる。何が彼を照らしているのだろう。しばし見とれた。彼が今ここにいる意味はなんだろうかと。
戻るとまた、ドーケージが私の横にぴったりくっついて移動する。かわいすぎる…
三時で集牧らしい。馬房にはそれぞれの名前が書かれているので、入った馬を見ていたら「見てていいよ」。そのまま顔と名前を確認することにした。
が!! 1頭わからない馬がいました… 若くはない馬で、右側から舌を出す癖があります。どこかで馬がずれているかもしれない。今度再確認するつもりだけど、間違いに気づいたら教えてください(>_<) 今はさらに馬が増えているし、わかるんだろうか…
馬たちは、ここでとても大切にされていること。
この馬たちは、すごく福島で大事にされていたこと。
かわいい馬たちに、その両方を教えてもらった素敵な日だった。
そういえば、近くには相馬中村神社がある。神事である野馬追だから、そんなつながりも偶然ではないのかな、と思う。