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2012年2月12日 (日)

いつか、野馬追で(4)

写真の見せ方というのは長年悩んでいて、でもはじめてやってみた。ふむふむ、どちらがよいのでしょうね。


2時になったので友人と別れ、五輪共同育成センターに戻った。雲が出てきてしまった。放牧地の馬たちを見ていると、マドリードシチーの奥に真っ白い馬がいるのが見えた。防風林の前を行き来する美しい馬。ダンツムソウだ、ここにいたんだ。
津波の中を犬と一緒に泳いできたというダンツムソウ。近づいてみたけれど放牧地のそばまで行くことができない。暗くなり、こんな寒い日だからか中に入れてほしそうに、ひひーーん、と泣く。周りを見回すと、みんな出口に集まっている。私に期待されても、戻せませんから…
そのうち、雲の間から光が射した。林の奥から芦毛を照らす。馬の写真を撮っていると、これは何かを意味しているんじゃないか、と不思議な光景に出会うことがある。津波から生還したダンツムソウを照らす太陽。この時だけ雲が切れた。その奥には太平洋が広がる。何が彼を照らしているのだろう。しばし見とれた。彼が今ここにいる意味はなんだろうかと。

戻るとまた、ドーケージが私の横にぴったりくっついて移動する。かわいすぎる…
三時で集牧らしい。馬房にはそれぞれの名前が書かれているので、入った馬を見ていたら「見てていいよ」。そのまま顔と名前を確認することにした。

が!! 1頭わからない馬がいました… 若くはない馬で、右側から舌を出す癖があります。どこかで馬がずれているかもしれない。今度再確認するつもりだけど、間違いに気づいたら教えてください(>_<) 今はさらに馬が増えているし、わかるんだろうか…

馬たちは、ここでとても大切にされていること。
この馬たちは、すごく福島で大事にされていたこと。
かわいい馬たちに、その両方を教えてもらった素敵な日だった。
そういえば、近くには相馬中村神社がある。神事である野馬追だから、そんなつながりも偶然ではないのかな、と思う。

いつか、野馬追で(3)

そこで、時間がきたので一旦法理牧場へ向かった。

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ここには野馬追を一緒に見に行った友達を誘った。数年前、仙台空港からレンタカーで一緒に原町まで行った。牛タン、ずんだシェイク、木幡の凍み天を食べた。時間があるといって海水浴場に寄り、そこから海の上に浮かび上がっているような福島原発を見た。

牧場の方が待っていてくれた。ここは風が強くて寒い! 場所によってもかなり差がある。ご飯の牧草がとばされてしまうので必死で戻してあげる。静内SSみたいだなー。
ここは9頭。メジロマイヤーとニイルセンが一緒にいる。ニイルセンは船橋出身で、ダーレーの馬だった。今回、ダーレーも三分の一を寄付しているけれど、自分の馬がいるからではないだろう。
みんなふっくらしている。牝馬のトガミハリヤーがやたらかわいい。

事前に調べた飼い主の名前を友人に伝える。よく見る武将はだいたい覚えてしまうもので、「あのお兄ちゃんかな」、と語り合う。あの時会った馬が、この子だったかもしれない、と記憶の糸をたぐる。

いつか、野馬追で(2)

五輪共同育成センターにいる馬たち。さぁ一気にスライドショーにしたどー。

ということで、旧五輪共同育成センターに向かった。青空。
道路側にトラックがあり、その奥に馬房。ロの字型の厩舎を越えるとサンシャインパドックや放牧地があり、馬がたくさんいた。みんなが驚いて私の方を見る。
まずは手前のサンシャインパドック。最初に迎えてくれたのはオピニオンシチー。真っ黒な体に鼻にちょこんとついた白がかわいらしい。耳をぴんと立ててカメラをつつこうとする。
その斜め向かいがメイショウモトナリ。今日の目的はみんなの元気な顔を見ておきたい、ということだったけれど、もし、誰に会いたい?と聞かれたらモトナリと答えるだろう。
サクラローレルが引退して数年、ローレルにそっくりな馬が小島太厩舎に入った。ファンはみんなで似てる、と喜んだ。それが、予想以上に結果を残した。私はモトナリには、きっと野馬追で会うことになるんだろう、と思っていた。まさかこのような形で、ここで会うとは。
栗毛で前髪が長くかわいらしい。ローレルよりはかわいく子どもっぽく見える。顔をのばしてくる。突然噛みつくふり。この子はそういうことをするのね…と思っていたら、手袋噛まれた(泣)。私の手袋は指先がなくて、その指を覆うぼっこがついているタイプなんだけどそのぼっこを噛まれ、ぶんぶん遊んでやがる。噛み遊びには慣れているけどしばし苦戦。ふふ、かわいいなぁ。
隣の馬のところにいこうとすると、モトナリが私についてくる。ついてくるといっても小さなサンシャインパドックの中だけど、それがかわいい!
ここの馬たちは、みんなして、私の方に顔を近づけてくるのだ。懐っこい。

右側にある大きな二つの放牧地に向かった。8頭ずついるようだ。特徴のある馬はわかるんだけど…メモをチェックしながら確認作業。みんな不思議そうにのぞきこむ。
マーベラスタイマー。変わらず若いなぁ。私が野馬追に行った時、いつも活躍していた。鞍上の武者が「前も来てましたよね」と覚えていてくれた。会場の近くで、旗に慣れるため、馬房の前には長い布が貼られていた。

みんな、冬毛が生えて暖かそうだった。それは傷を隠しているのかもしれない。ふっくらとした体。数ヶ月も経てば、放牧地ではそれぞれのコミュニティを形成しているようで、見ているとなかなかおもしろい。コノハナサクヤちゃんのボスぶりが笑える。とにかく私が写真に写るのよ! とそばにやってくる。
道産子の浦里ちゃん、一頭だけドサンコでかわいい。とはいえ、小さなサラとそんなに変わらない。ばん馬入ってるんだろうか?
トーセンシャナオーは相変わらずキレイだ。

逆側に小さな放牧地がいくつかある。1~2頭が放たれている。
手前にいるのはハーモニィドーケージ。逃げて逃げて、ドーケージという寺にたどりついたからこのような名前がついたそうだ。広い場所に一頭だけなのが寂しいのか、私の姿を見るとじっと見つめる。慣れてきたら遊んでほしそうにする。美しい、ハンサム、という馬ではない。でもものすごくかわいい。短い前髪に皮膚の感じ、離れている目、どこかでこんな馬に会った気がする。愛らしい弟のような、そんな馬。
持ち主が見つかったというブログをみた。持ち主さんは六時間かけて歩いてきたという。すごくかわいがられていたんだと思う。この子はものすごくかわいいもの。

隣にいるのはカフェボストニアンとキングジョイ。キングジョイというのは福島でつけられた名前で、障害馬のキングジョイとは関係ないので念のため。
この二頭は同じ牧場にいたそうで、今もすごく仲がいい。この子たちも私の姿を見つけると歩いてきてくれる。

みんな懐っこい。愛されてきたのがよくわかる。

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ばん馬のいる風景

プロフィール

  • ゆかです。北海道在住。いろんな馬に会うことが好き。 ばんえいは「ばん馬のいる風景」、ホッカイドウ競馬は「つぶ串ひとつ」というブログで書いてます。それ以外の馬ネタの行き先がここ。 TwitterとInstagramは@primoordine。地元紙記者、競馬ライター・カメラマン。小久保(斎藤)友香の名前で出ています

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