札幌競馬場
私が札幌競馬場にはじめて来たのは1996年夏。まだ、札幌→函館の順だったころ、6月の札幌記念を見に行ったのがたぶん最初だと思う。その前にも行ったかもしれないけど、あまりにこの日の印象が強烈すぎた。
めちゃ混みのパドックに近づいて馬を見ると、1頭、ぴかぴかに輝き筋肉がもりっもりの馬がいた。強いサラブレッドというのはこのような馬なんだと思った。武豊を鞍上に、マーベラスサンデーは見た印象通りの強さを見せてくれた。
それから一気に競馬に惹かれていったわたしは、札幌競馬が始まった、となれば競馬場に通いまくった。皆勤は当たり前。ゴール前の芝生にごろんと寝転がり、空を眺める心地よさといったら。好きな馬の勝利に喜び、敗戦を悔しがり、事故に胸を痛めた。競馬仲間とのくだらない会話に爆笑した。
開催はもちろん、早朝の馬の息使いがたまらなく好きだった。公開調教も皆勤の勢いだった。
少しずつ競馬の幅が広がり、春、秋のホッカイドウ競馬を見に行くようになる。比重が中央から地方に移行していく。
それでも、札幌競馬の雰囲気は私の中で大事な存在だった。
馬と人との出会い。食べ物、風、におい。私にとっての競馬のスタートはすべてここにある。
写真を整理していて、ちょっと懐かしい気持ちはあるけれど、最終日、不思議と寂しい気はしなかった。それはいままで、あまりに多く、なくなった競馬場を見てきてしまったからなのかもしれない。札幌は、スタンドがなくなってもこのコースは残るから。来年の夏の過ごし方を考えて、新スタンドを楽しみにするだけだ。