幕
パドックに飾られている1枚の幕から感じる、馬、騎手に対する純粋なファンの愛情。見ているだけで涙が出そうになる。
私も幕を作っていたころ、怪我をしないように、力を出せますように、いい結果が出ますように、不細工だけど、思いを込めて作っていた。手作りにこだわったのは、千人針にも似た思いからだった。
ここ最近規制が敷かれるようになった門別競馬場の応援幕の掲示について、ずっと疑問を持っていた(ちらっとブログに書いたりメールで意見を送ったりもした)。それは、そんなファンの気持ちを大切にしてほしかったからだ。少しずつ改善されてきたけれど、当初はせっかく作って持っていった幕を、受付時に突然はれないと言われたり、一定の時期が来たら勝手にはがされたり(しかも紐を切って!)、それはあんまりじゃないか、ということがあった。
来年からは、応援幕は旧パドック、スタンドから見える位置への掲示となり、パドックは、協賛企業幕になるという。騎手に幕が見えないのはちょっと残念だけど、門別に行くときは幕の写真を撮ってネット上にアップしたい。
ファンの思いを汲んでくれているのだと思うと、ちょっとほっとする。
中央遠征もすっかりご無沙汰している今では、東京競馬場の幕事情がどうなっているのかわからないけれど、後藤騎手が復帰した日、パドックの幕を見たいと中継をつけたらそれらの幕はちょうど画面には映らないところに貼られていたようだった。JC&WSJSの日、赤岡騎手の幕は見つけられなかった。ロンジンのロゴが目に入った。
それでも、最近の幕を見ているとそれも致し方ないかなと思う。馬主の幕は広告ととらえられなくもない。牧場は、牧場名が社名でもある。知りあいが作ったものだろうと感じる個人幕もある。ファンのものではない、内輪の世界をパドックから感じてしまう。実際、パドック中継で映るあの場所は、広告の効果もかなり高いだろう。
私は、スタンドから見る競馬を大事にしたい。ファンの見る競馬を愛したい。
ずらりと並ぶ幕は、それを感じられる光景だと思っていた。
そんな景色は、少しずつ減っていってしまうのだろうか。