馬に会いに行くこと
私は牧場で馬にはまった人間だ。
20代から30代にかけては、牧場で馬に会うことをライフワークにしていた。
(一応、知らない人のために。)
今思うと、「牧場見学」という単語にずっと違和感があった。
まるでイベントのようで。
施設見学などとは違う。
私の感覚に近いのは、「馬の、人の家(うち)に行く」。
それは個人牧場だけじゃなく、スタリオンだってそうだ。
そのために、年上の人と会う時は礼儀を心がけようと努力した。
馬についてもできるだけ学ぼうと勉強してきたつもりだ。
失敗もして、いろいろなことを悩んで、考えて、
時間はかかったけれど自分なりに答えを見つけてきたつもりだ。
馬に会うことは、人に会うこと。
競馬関係者とファンとの距離感をどうすべきか悩んだけれど、
それも人と人との関係だからケースバイケース。
つきあいの中で考えることにしている。
その結果、馬を愛する人たちとの縁ができた。
馬のそばで「この人は大丈夫だよ」と言われるようになった。
「見学のマナー」ってなんだろう?
わたしがたどりついた、大事にしていることは。
その仕事や、従事する人へのリスペクト。
それは馬に携わる人もそうじゃない人も同じ。
そのようにして、社会人として大切なことを身に付けてきたと思う。
競馬を見ていない今は、馬のことを知らなさすぎて、申し訳なくてほとんど牧場には行っていない。
昔から好きな馬たちに、たまに会う程度だ。
幸い私の好きな馬は、長生きしてくれている。