小分けにでも更新しようと思いながら相変わらず出来ず、次の日の佐賀競馬のこと。
友の会バスで、柳川から競馬場へ向かった。
常連のおじちゃんたちが、競馬の話からテレビの話題まで盛り上がる。聞こえてきてしまうので飽きることがなかった。荒尾、9000万売れてたとよ。たいしたもんじゃ。ペリエじゃの、フランスかなんかの騎手…いや、ペリエじゃなかとよ、ベリーヤじゃ。トイレに何千万置いてったって人いるとよ。俺んとこに置いていってくれればいいのにな。震災に寄付するっていうならお前に入れてやるけど、あんた競馬に使うからだめだわ。…
大きな駐車場を埋め尽くす車に子供連れ。今日は土曜日だということに気づく。荷物はコインロッカーに預けた。
きっと、ほとんどの人はJRAの馬券売り場に向かってしまうのかと思ったが、スタンドにはかなりの人が残っていた。
おおっ、これが「何でも焼く店」!
スタンドからJRAの馬券売り場まで行く間に「佐賀競馬は頭数が少ないから当てやすい!」という張り紙があった。
至るところで馬券の情報が紹介され、売上増に向けた努力が垣間見られる。
JRAのメインレースが終わるとすぐに「佐賀競馬は○分からレースです」とアナウンスを入れる。洗練されている感じは受ける。競馬に熱心な場所だ。でも荒尾に行ったあとだからなのか、冷たい雨のせいもあるのか、なにかさみしい。
たくさんある食堂には、武豊とスノーエンデバーの写真が飾られていた。旭川競馬にもこんな食堂があったことを思い出してほっとする。
今の競馬では、存続の条件は売り上げの数字だけを見られてしまう。その現実をわかっていても、私は競馬の楽しさを馬券以外に感じている。その後ろめたさを凌駕するほどの魅力があるのだから仕方がない。
とはいえ、自分の好きな競馬場の雰囲気は、存続に反しているのかという思いで何度も悩んでしまう。
生活が苦しくなることがわかっているのに、それでもばんえいを存続させよう、と声をあげてよかったのか。つらそうな話を聞くといつも思う。ぼそっとそのことをつぶやくと、「そう言われたら元も子もないから、がんばるしかないんだ」。そういう、強い厩舎村の人たちに励まされてきた。
たくさんの人がいたこの日の佐賀競馬の売上は、5000万だと聞いて驚く。
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11月の道営記念の寒い寒い日、スタンドに荒尾でお世話になった調教師が来ていた。たぶん、厩務員の働き口を探しにきているのだろう。または、馬。
年明け、その調教師から「引退しました」という丁寧なハガキが届く。自分の成績より、所属騎手の活躍、騎手、厩務員の次の職が決まったことを喜ぶ文面に涙が出る。