2022年12月23日 (金)

「かわいい」と言わない

「かわいい」は判断を鈍らせると思っている。
馬の本質が見えなくなる。

かわいい、と言ってしまったらそこから馬に対する学びが止まる気がするのだ。

競馬を始めたころ「かわいいかわいいばかりのおじょーちゃん」
と思われることが嫌で、反発していたのもあるだろう。

こどものころから「かわいいね」(態度が)と言われることに嫌悪感があったからなのかもしれない。
子どもだからと低く見られていると疑心暗鬼になっていた(変に大人びていた)。

素直にかわいい、と言っていたのはいつまでだったか。
もしかすると、気持ちを抑えこんでいたかもしれない。
馬のことをかわいいと言っている素晴らしいホースマンはたくさんいる。

でもこれまでを振り返ると、私の場合は、
かわいいを封印することで馬と向き合えていたような気がしている。

2019年9月19日 (木)

馬に会いに行くこと

私は牧場で馬にはまった人間だ。
20代から30代にかけては、牧場で馬に会うことをライフワークにしていた。
(一応、知らない人のために。)

今思うと、「牧場見学」という単語にずっと違和感があった。
まるでイベントのようで。
施設見学などとは違う。

私の感覚に近いのは、「馬の、人の家(うち)に行く」。
それは個人牧場だけじゃなく、スタリオンだってそうだ。

そのために、年上の人と会う時は礼儀を心がけようと努力した。
馬についてもできるだけ学ぼうと勉強してきたつもりだ。
失敗もして、いろいろなことを悩んで、考えて、
時間はかかったけれど自分なりに答えを見つけてきたつもりだ。

馬に会うことは、人に会うこと。

競馬関係者とファンとの距離感をどうすべきか悩んだけれど、
それも人と人との関係だからケースバイケース。
つきあいの中で考えることにしている。

その結果、馬を愛する人たちとの縁ができた。
馬のそばで「この人は大丈夫だよ」と言われるようになった。

 

「見学のマナー」ってなんだろう?

 

わたしがたどりついた、大事にしていることは。
その仕事や、従事する人へのリスペクト。
それは馬に携わる人もそうじゃない人も同じ。
そのようにして、社会人として大切なことを身に付けてきたと思う。

競馬を見ていない今は、馬のことを知らなさすぎて、申し訳なくてほとんど牧場には行っていない。
昔から好きな馬たちに、たまに会う程度だ。
幸い私の好きな馬は、長生きしてくれている。

2019年2月25日 (月)

わたしの中にいる彼女のはなし

先日、やっとジオシティーズ移行したww
昔のホームページやブログを整理したついでに、書いたまま数年、アップしないでいた内容をあげてみます。

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ある町の乗馬施設を訪れた。
数年前、彼女が繁殖を引退して、移動した牧場だ。
私の住む街からはかなり遠い。すぐに行ける場所ではない。
初めてその町に行ったとき、怖くて寄れなかった。そのことを後悔したので、今回は行くことにした。

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大好きな馬のお母さんは、美人でやさしくて、温かかった。さすが彼のお母さんだと思った。
いつも逢いにいくと、背筋をすっと伸ばしたような雰囲気で迎えてくれて、美しいまなざしをこちらに向けるのだった。いっぱい話をして、辛いときは横でいっぱい泣いた。彼女はただ、横でのほほんとひたすら草を食むのだった。

繁殖を引退して移動することになったと聞いて、たくさん泣いた。でも、彼女はサラブレッドだから泣くのはこの日1回でやめることにした。
生まれ故郷の牧場は、繁殖を引退しても処分はせずにどこかの施設に移動させる。今回は、3頭一緒に、繁殖を引退したおとなしい馬をトレッキング用に使っているという、乗馬施設に行くことになった。彼女がかまってくれない時に遊んでいた、ほかの優しい2頭が一緒。この子たちとなら寂しくないだろう。
行き先があるんだし、ここでずっと幸せに過ごすんだ。
今までみたいに簡単に会いに行けない。
でももう、私のなかに彼女はいて、温かさやにおい、肌触り、みんな覚えている。だから大丈夫。

「馬運車から降りてきたその人は、猫を抱いて降りてきてね。」
牧場の人が言っていた。新しいところの人は、命を大事にする人なのだ。彼女はずっと、大切にされるんだ。
牧場の人からもらったたてがみとしっぽで、アクセサリーをつくって身につけていた。そのうちほつれてきたので、今は袋に入れて持ち歩いている。

私の中に彼女はいる。むやみに会いにいって、今いる施設の人に気を遣わせたくはない。
と思いつつ、いなかったら、という不安もある。
そのうち時間はどんどん過ぎていった。
馬は突然どうなるかわからないし、そのことで繋養先を責めるのもどうかと思う。だから、サラブレッドが引退した後は、できるだけ早く会いにいって、そう、ずっとここで暮らすんだ、その記憶をつくることで納得させる。そんなことをよくしていた。

それと同じく、移動してすぐに会いに行けば良かったんだ。その町に行った時にだって寄らなかった。いなければそれで納得がいく。もしいたのに会わなかったら?彼女が待っていたかもしれないのに。見知らぬ放牧地で草を食む彼女の姿を想像した。ねぇ、どうしているの?

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深い霧の中、その施設を訪れた。犬がいっぱいいて、きゃんきゃんとお出迎えを受けた。人はいない。奥の広い放牧地に、数頭、馬がいるようだ。
名前を呼んだ。呼べば私の声はわかるはずだ。私の存在にだって気付くだろう。
人の存在も気にせずに草を食み続ける馬たちの背中は、若い馬のように見える。鹿毛が2頭と、黒っぽい馬が2頭。
彼女は鹿毛で顔に印はない。一緒に行った子は青鹿毛だけど、ここにいる子とはちょっと雰囲気が違う。鹿毛の子だって、彼女とは違うみたい。

1頭、こちらからはよく見えなかった鹿毛が顔を上げた。白い流星が顔に見えた。

もう、彼女はここにはいないんだ。

寂しいとか、悲しいとかじゃない。
もともと心の中にいる彼女が、空の上にいる可能性が高くなったということだ。
温かな思いをずっと胸に抱くことで、強くなれたと思う。彼女のまなざしのように。

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彼女のことをネット上に書いたのは初めてだ。
思い出は全て、私だけの宝物だから。

2017年10月13日 (金)

死亡率100%の牧場

「死亡率100%の牧場です。」
ああ、そうか。一旦考えて、すとんと落ちた。初めて聞いた言葉だった。

http://www.candy-farm.com/
浦河町の養老牧場、キャンディファーム。
いつも通る道沿いにあり、昔ばん馬のベイシーがいた場所。いろんな縁があり気にかけている。
その、キャンディファームさんのFacebookで見た言葉だ。

ここに来た馬はここで死んでゆく-
それが難しいことは、引退馬の余生牧場であってもいえること。
余生をみとるということは全ての死を受け入れることだ。
当たり前のようで気付かなかった言葉だった。

2017年8月 2日 (水)

「馬の瞳を見つめて」の復刊を希望

渡辺はるみさんの著書「馬の瞳を見つめて」。
なんで見かけないんだろうと思っていたら、出版社が倒産していたとは。
競走馬を引退した馬について、オブラートに包むことなく丁寧に記されている。
生を望むことは死と向き合うことだ。愛ゆえの覚悟がある。
以前よりは引退馬支援の動きが広がっている今こそ、一度立ち止まって、多くの方に読んでほしいと思う。

復刊の賛同者を集める「復刊ドットコム」というサイトで投票ができます。
多くの方に広めていただきたいです。
http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=65495&tr=t

2016年2月26日 (金)

ソルテの縁

24日、大井のフジノウェーブ記念を勝ったのはソルテ。
暖かな薪ストーブの横に飾られていた、ソルテのゼッケンを思い出す。
昨年、ソルテの生産牧場、下村さんの牧場にお邪魔した。大好きな馬の妹であり最後の娘である、ニットウプラリーネが余生を送っている。
こういった縁で、勝利を喜べる。うれしいことだ。
20151205134323_2

母、キャロルに一番似ていた。繁殖入りするものだと思っていたが、母にはなれなかった。キャロルに似た、優しくて強い母親になると思っていた。でもこればかりは仕方がない。牧場の意向で余生を過ごせてるし、とても幸せそうだ。
唯一繁殖入りした娘は、初仔を育児拒否した。ミルクで大切に育てられた子は中国に渡った。2番目の子はきちんと育てたけれど、受胎率もあまり良くないままで、写真その後乗馬となった。(←本当に乗馬)
血を繋ぐって難しい。自分の好きな馬の血が、どこまで残っていくのだろう。
ブラックタイプから消えていく血統は、それでも私の心の中の温かな場所に残っている。

2015年11月 3日 (火)

プリモディーネに会ってきた

やっと、今年1月に日本に戻ってきたプリモディーネに会ってきた。
13年ほど海外にいたから、それ以来。私が会うのはそれ以上かぁ。
不思議な感覚だ。当たり前だけど、同じ顔。ちょっとおばあちゃんになったかなぁと思うけど、でもきりっとした目やそれぞれのパーツ。そりゃそーなんだけど、同じなのだ。プリモが戻ってきた。
ものすごく食欲が旺盛で、というか食に対して貪欲。この調子ならずっと元気だなってくらいで、ほっとしました(笑)

牧場におじゃまするのも久しぶりだ。以前ほど競馬を見なくなってからは、この程度の知識で牧場に行くのは失礼に感じて、いろんな牧場に行かなくなっている。こちらの牧場も、場所が変わって、厩舎の位置も移動し、人も馬も入れ替わり。それでも、昔からの方と、懐かしいトークで盛り上がって、ものすごく楽しかった。人に話しにくく、自分の心のなかで後ろめたく感じていた、競馬を見なくなった理由。それを思いっきり話すことができた。
競馬の魅力は、血統の美しさと歴史。それらを持ち合わせていた伊達オーナーの馬たちの結晶を前に、自分にとっての競馬がなんだったか、少しずつ見えてきたような気がした。

プリモの仔は4頭が繁殖入り。フィガロもいい仔を出しているし、アンパサンドも種牡馬入りして、3頭が受胎したらしい。そうやって、伊達オーナーの血統が残っていくのが嬉しい。しかもアンパはブロケードの血を引く繁殖につけたようで、ブロケードのインブリードができるとか!! 今はストームキャットが人気出てきてるからいよいよフィガロの時代だとかいってちょびっと盛り上がりました(笑)。ほんと、会わせていただきありがとうございました。


posted by (C)ゆか

2015年11月 2日 (月)

ノーザンホースパークのハロウィン2015

正直、ハロウィンに乗り気ではなかったのだけど、馬たちが仮装をするということでノーザンホースパークに行ってきました。仮装すると入場無料。ちょっとでも仮装してればいいということなのだけど、考えれば考えるほど何もできず、結局仮装しませんでした…。
まず、見たかったのがクライスデールのバンジョーのライディングショー!! でかい馬の軽快な動き!
バンジョーは想像以上に軽快で迫力があり、かっこよかったです!!乗っているガイコツもな!!
ホースパレードの馬たちも楽しい! 音楽隊の演奏に合わせて歩き、周りには仮装した子どもたちや若者、犬(これまたかわいい)。とっても楽しい空間でした。

スライドショーで紹介

バンジョーのショーとホースパレードの様子

2015年7月25日 (土)

日光東照宮流鏑馬 苫小牧特別公演

2015年7月25日 ノーザンホースパークで行われた流鏑馬を見てきました。
あいにくの雨……。とりいそぎ写真で紹介。
写真はFacebookとフォト蔵にあげました。

https://www.facebook.com/media/set/?set=a.952936604752631.1073741849.100001089016581&type=1&l=7569d74b4c

動画はこちら
 https://youtu.be/CRiWHs8XH34
今回の説明
http://www.city.tomakomai.hokkaido.jp/shisei/koho/yabusame.html
小笠原流の流鏑馬について
http://www.ogasawara-yabusame.com/menu/sinji.html

2014年10月13日 (月)

うらたびに参加してきました

私の心のふるさと、浦河町で、7月12日から8月10日まで行われていた、「うらたび」スタンプラリーを楽しんできました。
景勝地8カ所に置かれている「スタンプハウス」に行って、はがきにスタンプを押して回ります。
子どもみたいにスタンプ押しまくってすいません、ものすごくすいません。
自分に返信ので、なかなか使えない競馬切手を持参。
Img_2859_2

浦河には私の好きな馬がいる牧場があって、十数年前からよく訪れていました。
馬がいて、海があって、なだらかな丘にほっとする。何度も通い詰めたからなのか、縁があるからなのか、わかりませんが三石とも様似とも違う。細かいこというと荻伏もちょっと違う。
好きな馬がいる場所だからなのかな、と思いますが、それだけでは言い表せない魅力があります。私の「心のふるさと」。老後は浦河に住むと決めています。行くだけで心躍ります、そんな町ここだけです。
この町をせいいっぱい楽しみたいと思っています。
帰りには、浦河に移住してきた方々と話をすることもできました。やはり、馬好きな人ばかり。いっぱい笑って楽しかった!!

帯広から行ったので、国道沿いのオロマップ展望台からスタート。景色は見られませんでしたが、満点の星空に感動しました。
その後はすべてスタンプ台とからませた写真を撮っていたので、ここでも星空とスタンプ台とを撮ればよかったー。
白泉のコンブ干しは初めて見た!手前の小型船が忙しそうに行ったり来たりして、砂場では子どもも混じって昆布を一斉に干していきます。浦河は魚の美味しい町ですが、特に白泉は美味だと聞いたことがあります。砂場の真ん中を日高本線は通過するし、素晴らしい景観!
馬のいるところに戻って、牧場の方に昆布干しを見てきた話をしたら、馬産地も大変だけど漁業も同じくらい大変だから、今年は昆布が取れるみたいでよかった、と話していました。

インスタグラムにアップした写真も混ざっているので、加工された色合いのものもあります。

ちなみに訪れた次の日、高校野球の南北海道大会準決勝で、浦河高校が惜敗。
前日、ホテルやコンビニには、ベスト4の号外が張られていたほど町は盛り上がっていました。
浦河や静内という馬産地の高校の野球部は、実はそんなに弱くないと思うのですが、同じ支部に駒大苫小牧や苫小牧工など、苫小牧の強い高校があるからなかなか全道に出られないのだと思います。小樽潮陵との試合、4-8で迎えた9回に5点を取って逆転!しかし9回裏にサヨナラ負けを喫してしまいました。残念。頑張りました!

より以前の記事一覧

ばん馬のいる風景

プロフィール

  • ゆかです。北海道在住。いろんな馬に会うことが好き。 ばんえいは「ばん馬のいる風景」、ホッカイドウ競馬は「つぶ串ひとつ」というブログで書いてます。それ以外の馬ネタの行き先がここ。 TwitterとInstagramは@primoordine。地元紙記者、競馬ライター・カメラマン。小久保(斎藤)友香の名前で出ています

つぶ串ひとつ

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